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「野菜がちょっと足りない」脂肪肝の人におすすめ!栄養バランスを改善したい時の強い味方【赤酢のピクルス】
脂肪肝と診断されたら、どんな食事をとればいいのでしょうか。
今回は50代女性のタエさんが相談にやってきました。子どもに手がかからなくなり、季節柄からも食事の準備をするのがおっくうになってきたそうで、栄養バランスの偏りが心配です。そんなタエさんのお悩みに、佐賀大学医学部附属病院 肝疾患センターの管理栄養士の原なぎさ先生が回答します。

<今回の相談者>
タエさん 50代女性 会社員
ぽっちゃり体型で脂肪肝と診断された。仕事と家事を両立してきた頑張り屋さんだが、子どもが大学に進学して家を離れてから、少しずつ食生活に変化が出てきたと感じている。

Question1
スーパーの総菜に米と味噌汁。定食スタイルの食事だからOK?
栄養士
「タエさん、こんにちは。脂肪肝と診断されてすぐに栄養相談にきてくださいましたね。それから半年ほどが経ちましたが、お食事の内容はどうですか?」
タエさん
「前回、脂肪肝の人はバランスの良い食事をする必要があると聞いたので、なるべく主食・主菜・副菜が揃った定食スタイルを心がけています。」(バランスの良い食事についてはこちらを参照)
栄養士
「それは素晴らしいですね!ちなみに昨晩はどんな献立でしたか?」
タエさん
「昨日は、スーパーで買った鶏の唐揚げと、豆腐の味噌汁と白いご飯です。主食が米、主菜が唐揚げ、副菜が味噌汁で、定食スタイルになっていると思います。」
栄養士
「いいですね!これにサラダを添えたり、お味噌汁に野菜やキノコをたっぷり入れると、食物繊維やビタミン・ミネラルも補えて、よりバランスが整いますよ。」
タエさん
「なるほど、確かにそうですね。実は、この春から息子が一人暮らしを始めて、今は夫と2人の生活なんです。それからなんだか食事を準備する意欲がわかなくて、 最近は総菜に頼りがちで(汗)。」
栄養士
「そのお気持ち、よくわかります。私も似たような経験があって、“誰かのために作る”ことが大きな原動力だとあとから気づくことがあるんです…。特に蒸し暑い季節は、キッチンに立つのもしんどいし、もう、“火ぃ使いたないわ〜”って思いますよ(笑)」
タエさん
「栄養士さんもそうなんですね! なんだかちょっと安心しました(笑)」
栄養士
「はい(笑)。忙しい時や、疲れていてキッチンに立つ気になれない時は、総菜をうまく使うのは、むしろ賢い選択だと思いますよ。工夫次第で、総菜を使う場合でも栄養バランスを良くすることはできますしね。ただ、お惣菜が中心の食事が続くと、どうしても野菜が少なめになりがちなんですよね。だからこそ、“ちょい足し野菜”を意識すると、ぐっとバランスが整いやすくなります。 今回は、これから暑くなる季節にぴったりな、火を使わずにさっぱり食べられる野菜メニューをご紹介しますね!」

Question2
鍋も火も使わずに作れる!簡単おしゃれな「赤酢のピクルス」
タエさん
「手軽に野菜をプラスできるメニューとは何ですか?」
栄養士
「はい、それは“赤酢のピクルス”(図1)です!鍋も火も使わず、電子レンジだけで作れるので、暑い時期でも気軽に作れますよ。一度作っておけば冷蔵庫で1週間ほど日持ちするので、常備菜としても便利です。」

赤酢のピクルス(図1)
タエさん
「へぇ〜、赤酢なんですね。最近よく名前は聞くけど、実際に使ったことはなくて…。それって、お酢なんですか?」
栄養士
「はい、赤酢は佐賀県の老舗酒蔵さんの酒粕を使って作ったお酢で、まろやかな酸味とコクのある旨味が特徴です。お酢のツンとした感じが苦手な方にもおすすめですよ。ちょっと珍しいように思えるかもしれませんが、江戸前寿司などにも使われてきた歴史あるお酢なんです。いつものお酢に少し混ぜるだけで、味がやわらかくなって“いい感じ”になりますよ。」
タエさん
「なるほど~。ちょうど息子が今週末に帰ってくるので、味見してもらおうかな。ぜひ作り方を教えてください!」
栄養士
「とても簡単ですよ(図2)。れんこんやきのこ、かぼちゃなどを調味料と一緒に耐熱容器に入れてレンジでチン。大根やトマトみたいに、火を通さなくていい野菜は、あとから加えるだけでOKです。冷蔵庫で2時間〜ひと晩おけば、もう完成です!」
タエさん
「ピクルスって、もっと手間がかかると思ってました。レンチンでいいなんて、意外です!こういうの待ってたんですよ~(笑)」
栄養士
「はい、私も週末に多めに作って、平日にちょこちょこ食べてます。赤酢ピクルスを今の食事に“ちょい足し”するだけで、栄養バランスはぐっと良くなると思います。いろんな野菜で作れるので、旬の野菜でアレンジしながら、楽しんでみてくださいね!」

Question3
赤酢ピクルスにちょい足し!栄養バランスをさらに高める方法とは?
~1か月後~
タエさん
「この前、栄養士さんに教えてもらった赤酢ピクルス、息子が“美味しい”ってたくさん食べてくれて。多めに作ってお土産に持たせました。料理をするモチベーションもちょっと戻ってきた気がします。」
栄養士
「それはうれしいです!やっぱり佐賀県の野菜や赤酢は美味しいですよね。」
タエさん
「最近は、千切りキャベツやカットレタスにそのままのせてドレッシング代わりにしてサラダにしています。ピクルスの酸味と、シャキシャキ野菜の組み合わせが合うみたいで、夫もよく食べてくれます。」
栄養士
「えっ、そこまでやってくださってるんですか⁉ おっしゃる通り、 ピクルスは副菜だけじゃなく、ちょっとした調味料にもなりますし…いろいろ応用されてて、タエさん、ただ者じゃないですね(笑)」
タエさん
「主菜は相変わらず総菜頼りなんですけど、ピクルスがあると食卓がちょっと華やかになりますね。夫も、口さみしい時とか晩酌のおつまみにパクッとつまんでます。」
栄養士
「食卓にちょっとした彩りが加わって、ご家族にも好評だったなんて嬉しいですね。栄養バランスも整ってきていると思いますよ。」
タエさん
「でも最近ちょっと、なんとなく物足りないというか…ご飯のあとに何かつまみたくなっちゃうんですよ。」
栄養士
「ありますよね〜、“もうちょっと何か…”っていう感じ。でも実はそれ、たんぱく質が足りていないサインかもしれません。たんぱく質が不足すると、筋肉量が少しずつ落ちてしまったり、肝臓に脂肪がたまりやすくなることが最近の研究で分かってきておりますので、脂肪肝を改善したいタエさんにとっても、とても大事な栄養素ですよ。ピクルスでたんぱく質も補えるようになる“ちょい足し”食材があります。」
タエさん
「えっ、なんですか?」
栄養士
「それは……大豆です!良質なたんぱく質が手軽に摂れるうえに、コロコロっとした食感がアクセントにもなって、ピクルスにもよく合うんですよ。」

Question4
大豆を赤酢ピクルスにちょい足しする方法は?
タエさん
「大豆って、缶詰で売ってる水煮のことですか?乾燥大豆は手間がかかるイメージで…水に漬けて煮るってなると、ちょっとハードル高く感じちゃって。」
栄養士
「ですよね〜。でも意外と簡単なんですよ。水煮缶はもちろん便利なんですが、乾燥大豆も、軽く水洗いして炊飯器に入れればOK(図3)。放っておけば炊けてしまうので、意外と手間いらずです。ピクルスに混ぜるときは、レンジ加熱後に粗熱をとってから加えるのがポイントです。」
タエさん
「炊飯器で炊けるなんて、簡単ですね。水煮缶より経済的だし、乾燥大豆を買ってみてもいいかなぁ…。」
栄養士
「ちなみに、どうせなら…なんですが、佐賀大学が開発した“高オレイン酸大豆”はいかがでしょう? これならたんぱく質と一緒に、オレイン酸という体にやさしい脂質も摂れるのでおすすめです。高オレイン酸大豆は、武雄温泉物産館や溝上薬局でお買い求めいただけます。(販売店一覧はこちら)」
タエさん
「へぇ、薬局で買えるんですね。やっぱり身体にいいからかしらね…。」
栄養士
「ピクルスのシャキシャキ感に、大豆のコリコリした食感が加わると、食べごたえも出て優しいアクセントになりますよ。“あと一口”欲しくなるようなときにもぴったりですし、お菓子をつまむよりもずっと身体にやさしいです。ただ、美味しくてつい食べすぎてしまうこともあるので、そこだけはご注意くださいね(笑)」
タエさん
「今回もいいことを教えてくれてありがとうございます!」
栄養士
「お役に立ててうれしいです。またいつでも、お気軽に栄養相談に来てくださいね!」

管理栄養士からのアドバイス
食事は毎日のことだからこそ、気負わず続けられる工夫が大切です。「野菜は1日350g摂りましょう」と言われていますが、国民健康・栄養調査によると日本人は80gくらい足りていない状況です。そんなときは、総菜や市販品を上手に取り入れつつ、ピクルスのような作り置きの“ちょい足し”があると、自然と野菜が増やせます。さらに赤酢を使えば、なんてことない野菜も“ちょっといいもの”に早変わり。シンプルでも満足感のある一品があると、食卓がぐっと明るく・楽しくなります。日々のごはんに、ちょっとした工夫を添えて、栄養バランスを整えながら、肝臓にやさしい食事を無理なく続けていきましょう。